異性化糖と子供の気管支喘息
ハーバード大学医学大学院の研究チームは、「American Thoracic Society」にて、妊娠初期・中期の母親が異性化糖(正式名称:高フルクトース・コーンシロップ(HFCS))を多量摂取することにより、子供が7歳から9歳にて気管支喘息を発症する確率が高まると発表した。
また、幼少期の子供が異性化糖を多量摂取した場合も同様に、7歳から9歳における気管支喘息の発症率が増加したという。
異性化糖は清涼飲料などに含まれ、コーンシロップに含まれるブドウ糖の一部を異性化酵素にて果糖に変えた糖類である。ブドウ糖より甘く、日本の食品原材料名では「果糖ブドウ糖液糖」「ブドウ糖果糖液糖」と表記される。
異性化糖摂取による影響
研究チームは、マサチューセッツ州東部にて母子1068組を対象に、異性化糖入り飲料の摂取量と子供の気管支喘息における関連性について調査した。
母親に対しては妊娠第一期(1~12週)と第二期(13~28週)、子供は幼少期・小児期における異性化糖入り飲料(ソフトドリンク、果汁ジュース)の摂取量を調査した。なお、子供の平均年齢は3.3歳であった。
妊娠初・中期に糖類を多量摂取した女性では、異性化糖入り飲料を1日当たり平均2本、フルクトース(果糖)は1日当たり平均46グラムを摂取していた。一方、少量摂取の場合、異性化糖入り飲料は平均0本、フルクトース摂取量は1日当たり平均21グラムであった。
シェリル・L・リファス・シーマン(Sheryl L. Rifas-Shiman)氏は、異性化糖など果糖は気道に悪影響を与え、妊娠期の母親や幼児が異性化糖を多量摂取することにより、小児期中期にて気管支喘息を発症する確率が19%増になったと述べている。
研究チームは、今回の調査結果より、子供の気管支喘息を防ぐには、妊娠期の母親や幼少期の子供が果糖摂取量を減らす必要があると結論付けている。
(画像はPixabayより)

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