キスにより体外受精リスクの軽減
インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究チームは、「Clinical Endocrinology & Metabolism」にて、キスにより分泌されるホルモン「キスペプチン」が体外受精に伴う卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発症リスクを軽減させる効果があると発表した。
卵巣過剰刺激症候群は、体外受精における排卵誘発により生じる合併症である。卵巣肥大、血栓症、腎不全など多様な症状が現れ、重症化すると生命に関わる。
卵巣過剰刺激症候群とキスの効果
研究チームは、卵巣過剰刺激症候群の発症リスクが高い女性60人と発症リスクが10%から15%の女性を対象に、キスペプチンと排卵誘発剤における卵巣過剰刺激症候群の発症リスクを比較した。
キスペプチンにより排卵を誘発した女性60人は、卵巣過剰刺激症候群の症状が重症化した被験者は一人も認められなかった。また、卵胞数は45個から71個へ増え、結果として63人の子供が産まれた。
一方、卵巣過剰刺激症候群の発症リスクが10%から15%の女性に排卵誘発剤を用いたところ、10人1人の症状が重症化し、卵嚢は2倍に肥大したと報告されている。
なお、今回の臨床試験を通して、卵巣過剰刺激症候群の合併症を理由に女性4人の死亡が確認されている。
キスによりホルモン分泌
同大学のアリ・アビバラ(Ali Abbara)氏は、キスペプチンが排卵誘発効果のあるホルモンの分泌を促し、卵胞を受精可能な状態まで成熟させたと説明する。また、排卵誘発剤と比べて卵巣過剰刺激症候群の発症リスクが低いと述べる。
(画像はPixabayより)

JCEM
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