BPAと胎児の健康影響
ペンシルベニア州立大学の研究チームは、「mSystems」にて、妊娠期の女性がBPA(ビスフェノールA)を体内に吸収した場合、胎児は胎盤を介して間接的にさらされ、腸の慢性炎症、腸内細菌の減少といった健康影響を受けると発表した。
BPAは環境ホルモンであり、プラスチック製の食品容器、ペットボトル、缶詰などに使用される化学物質である。
ウサギを用いた動物モデル実験
研究チームは、ウサギを用いた動物モデル実験を実施した。妊娠期のウサギをBPAにさらしたところ、子ウサギは数週間に亘って影響を受け、腸と肺に慢性炎症が生じたと報告される。
実験において、母ウサギは妊娠15日目まで、産後7日間、体重1キロに対してBPA約200ミリグラムにさらされた。子ウサギは、胎盤や母乳を介して間接的にBPAを吸収した。
生後6週目の子ウサギは、慢性炎症により腸の透過性が増し、腸管壁浸漏症候群などの症状が認められた。また、腸内細菌の多様性は低下し、短鎖脂肪酸(腸内細菌が作る有機酸の一種)などの抗炎症性代謝物質は減少した。
慢性疾患の指標
ジャヤラム・K・P・ヴァナマラ(Jairam K.P. Vanamala)准教授は、今回の研究が腸内の慢性炎症が炎症を起因とする慢性疾患(大腸癌、糖尿病)のバイオマーカ、指標になると考える。
今後、研究チームは、環境ホルモンによる慢性炎症のメカニズム、抗炎症作用がある食物(紫ジャガイモ、紫キャベツなど)の効果について研究する姿勢である。
(画像はプレスリリースより)
PennState
http://news.psu.edu/