フタル酸による精子への影響
マサチューセッツ大学アマースト校は、「Human Reproduction」にて、フタル酸により精子DNAの発現は制御され、遺伝子突然変異など異常の要因に成り得ると発表した。
フタル酸とは、プラスチック、シェービングクリームなどのパーソナルケア製品に含まれる化合物である。
フタル酸曝露とDNAメチル化の相関関係
研究チームは、体外受精を検討するカップル250組を対象に尿のサンプルを採取し、フタル酸曝露と精子エピジェネティクス(遺伝子の発現を制御するメカニズム)の関連性について検証した。
採取した尿を分析したところ、被験者の尿内には8種類のフタル酸を含む、17種類の代謝物が検知された。また、遺伝子131領域にてDNAメチル化が認められ、精子細胞における遺伝子の発現や細胞機能が影響を受けた。
不妊治療の成功率に影響
今回の臨床試験では、個々ではなく集団単位にて、フタル酸曝露とDNAメチル化の相関関係が立証された。
リチャード・ピルスナー(Richard Pilsner)氏は、環境要因により父親がフタル酸に曝露された場合、精子内のフタル酸量が不妊治療の成功率に影響を与えると結論付けた。フタル酸には男性の生殖能力に影響を与える作用があり、アンドロゲン(男性ホルモンの一種)などホルモンバランスは乱れ、精液の質は低下すると説明する。
また、精子DNAメチル化により初期胚の成長が妨げられ、胚の質を低下させる要因に成り得ると報告している。しかしながら、妊娠期、および出生後における胎児の成長に対する影響の程度は不明である。研究チームは、今後、更なる研究の必要性を強調している。
(画像はPixabayより)

UMassAmherst
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