胚と父方のミトコンドリア
カリフォルニア工科大学は、American Physiological Society主催「Physiological Bioenergetics」にて、受精卵(胚)の正常発達を理由に、父親から受け継ぐミトコンドリアが受精後から数日以内にて消滅すると発表した。
ミトコンドリアDNAとは
受精卵は、卵子と精子からミトコンドリアを引き継ぐ。ミトコンドリアは、胚の形成におけるエネルギー源となる。
先行研究では、精子由来のミトコンドリアは受精直後に消滅し、卵子由来のみ引き継がれ、ミトコンドリアDNAの特徴的な性質になると報告された。
マウスによる動物モデル実験
マウスを用いた動物モデル実験において、精子由来のミトコンドリアは卵子由来のミトコンドリアと融合・結合することはなく、突然に消滅したことが認められた。受精後80時間以内にて、自己消化の過程(マイトファジー)を経て胚から排除されたという。
デイビット・チャン(David Chan)教授は、ミトコンドリアが損傷などの欠陥がある場合、良好胚に発達させる目的にて、父方のミトコンドリアは胚から排除されると推測する。
また、遺伝子異常を回避する理由もあるという。チャン教授は、父方と母方、2対のミトコンドリアDNAが存在すると遺伝子異常を引き起こす可能性が高くなると説明する。
(画像はPixabayより)

American Physiological Society
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