アミノ酸の過剰摂取による影響
カリフォルニア大学アーバイン校薬学部の研究チームは、「Molecular Psychiatry」にて、妊娠期におけるメチオニン(必須アミノ酸の一種)の過剰摂取が胎児脳の発達異常を引き起こす要因になると発表した。
メチオニンは、肉類、チーズ、豆類などに豊富に含まれている。妊娠中の女性が食事などでメチオニンを過剰に摂取した場合、統合失調症など精神疾患により胎児の脳における発達に異常が生じる可能性が高まるという。
マウスを用いた動物モデル実験
研究チームは、マウスを用いた動物モデル実験を通して、メチオニンの過剰摂取が胎児に与える影響について検証した。なお、今回の研究は世界初の試みとなる。
妊娠しているマウスに対して、メチオニン日常摂取量の3倍にあたる量を投与したところ、生まれた子マウスには統合失調症に似た疾患が認められた。
子マウスは、統合失調症の特徴的な症状、「陽性症状(過活性、常同行動)」「陰性症状(社会的能力低下、対人関係回避)」「認知機能障害(注意力・記憶力の欠如)」が見受けられた。
今回の研究において、メチオニンは、脳が正常に発達するうえで重要性となる遺伝子、特に統合失調症に関連する遺伝子の発現を変化させることが判明した。
日常摂取量を目安に
メチオニンはタンパク質の構成成分の一つであり、妊娠期において必要不可欠な栄養素である。
研究チームを率いるアマル・アルカール(Amal Alachkar)教授は、妊娠期においてメチオニン摂取は必要であるが、日常摂取量を意識するように指摘する。日常摂取量を上回る場合、胎児脳の発達に悪影響を及ぼし、影響は母から子へ、子から子へと長期的に続くと説明する。
(画像はPixabayより)

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