卵巣組織凍結保存の効果
クトゥルク・オクタイ(Kutluk Oktay)医師とフェルナンダ・パチェコ(Fernanda Pacheco)氏は、SAGE刊行「Reproductive Sciences」にて、10人中4人の女性(37.7%)が卵巣組織凍結保存を経て、妊娠・出産に至ったと発表した。
卵巣組織凍結保存とは
卵巣組織凍結保存では、生殖機能や内分泌機能など卵巣機能を低下させる可能性が高い場合、卵巣組織を取り出し、特殊技術にて凍結保存する。凍結保存していた卵巣組織は融解したうえで体内へ戻され、妊娠・出産に備える。
過去20年間にて、卵巣組織凍結の技術は臨床的に進展したが、一方、未確立な部分も残るという。
長期間に及ぶ臨床試験
オクタイ医師とパチェコ医師は、1999年に世界で初めて卵巣組織を凍結保存し、1999年から2016年に掛けてデータ収集・分析を実施した。
臨床試験では、癌治療中の女性を対象に卵巣組織を凍結保存した。うち113人は年齢を理由としたが、63.9%は卵巣機能の保存や卵巣機能の回復が目的であった。
凍結保存した卵巣組織309個から子供84人が誕生し、8人の妊娠(妊娠3ヶ月以上)が認められた。卵巣組織凍結保存を経て自然妊娠により子供を授かった女性は62.3%を占め、体外受精による妊娠は37.6%であったと報告されている。
オクタイ医師は、卵子凍結保存と比べ、卵巣組織凍結保存には卵巣機能の回復、生殖能力の改善効果が期待できるとの見解である。今後は、健康な女性を対象に卵巣組織を凍結保存し、効果が検証される見込みである。
(画像はPixabayより)

SAGE
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