生存期間が長い精子と子供に対する影響
イースト・アングリア大学(イギリス)とウプサラ大学(スウェーデン)の共同研究チームは、「the National Academy of Sciences(PNAS)」にて、体外受精において、生存期間が長い精子を選択することにより、子供に対して肯定的な影響を与えると発表した。
精子の遺伝子における個体差
男性の精液には、個人差は大きいものの、射精1回あたり何億万もの精子が含まれるといわれる。これまで、精子に生殖能力が備わっている場合、生殖能力に個体差はないと考えられてきた。
研究チームは、小型魚ゼブラフィッシュを用いて、射精1回で放出される精子の生殖能力における個体差、精子の生殖能力が子供へ与える影響を調査したところ、精子の特性や遺伝子配列に個体差が確認できた。
生存期間の長い精子と卵子が受精した場合、オスには顕著な相違が認められ、稚魚の生存率が増加し、成魚における能力は高くなったと報告されている。
子供に対する影響
生存期間が長い精子は、生存期間が短い精子と比べ、稚魚の生存率を7%増加させた。また、生存期間が長い精子より産まれたオスの精子は、遊泳速度が顕著に速く、受精率も4%高くなったという。
イースト・アングリア大学のシモーヌ・イムラー(Simone Immler)教授は、精子の遺伝子における個体差が稚魚の生存率、成魚の能力に大きく影響を与えたと述べている。ゼブラフィッシュを用いた動物モデル実験により、今後、体外受精における精子選択や受精技術が向上する契機になると期待される。
(画像はPixabayより)

University of East Anglia
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