高脂肪食と子供の精神疾患
オレゴン健康科学大学の研究チームは、「Frontiers in Endocrinology」にて、妊娠期において脂肪摂取量が多い場合、子供、孫と世代を越えて脳や内分泌系に影響を与え続けると発表した。脂肪分の高い食事は、精神疾患、行動障害を生じさせる要因に成り得るという。
先行研究にて、妊娠期の肥満が、胎児の精神的健康状態や脳内セロトニンシステムの発達に異常をきたすと報告されている。今回、オレゴン健康科学大学の研究より、初めて、妊娠期の脂肪摂取量と子供の精神疾患や行動障害の関係性が認められた。
動物実験モデルを用いた検証
研究チームを率いるエリノア・サリバン(Elinor Sullivan)教授は、動物実験モデルを用いて、妊娠期における脂肪分が高い食事が与える影響を検証した。
メスのニホンザル65頭を2グループに分け、一方には妊娠中に脂肪分の高い食事を与えたところ、 子供世代以降の135頭に精神疾患や行動障害が認められた。また、メス、オス共に脂肪摂取量が多い場合、誕生した子供、孫以降の世代が受ける健康的影響は大きくなったという。
妊娠期における食生活の重要性
動物モデル実験の結果より、妊娠期における食生活の重要性が立証された。
サリバン教授は、妊娠期の脂肪分が高い食事が胎児の脳内セロトニンシステムに対して発達異常を引き起こし、行動を変容させると説明する。
一方、妊娠期の脂肪摂取量が多い母親から誕生した子供であっても、幼少期に健康的な食生活を送ることにより脳の発達に対する悪影響を軽減でき、精神疾患や行動障害は生じないという。
妊娠期の食事管理指導を推奨
サリバン教授は、研究結果を受けて、食事療法士など専門家が、妊婦中の女性に対して、脂肪分の高い食事が胎児に与える影響について教授する重要性を主張する。
また、論文主著者のジャクリーン・トンプソン(Jacqueline Thompson)氏は、妊活中より食生活を整え、妊娠期に健康的な食生活を送ることにて、子供をはじめとした次世代の精神疾患や行動障害を防げると述べている。
(画像はPixabayより)

OHSU
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