睡眠環境と騒音
ソウル大学校の研究チームは、「Environmental Pollution」にて、睡眠環境が長時間の騒音(55デシベル相当)にさらされる場合、男性不妊が生じる危険性が高まると発表した。
「Environmental Pollution」は、医療・医学、科学技術において世界最大規模の出版社であるELSEVIER(エルゼビア)社が発行する学術雑誌である。
睡眠妨害や健康被害が出る騒音値
WHO夜間騒音ガイドラインでは、睡眠に影響が出る騒音値を30~40デシベル、睡眠妨害や健康被害が出る騒音値を55デシベル以上と定めている。55デシベル以上の騒音環境下にて睡眠をとることにより、不妊の発症率が著しく増加するといわれる。
騒音環境下での睡眠は、人体に対してストレスを与える。神経内分泌の恒常性は維持できなくなり、男性ホルモン「テストステロン」の分泌作用は悪影響を受ける。テストステロンの減少により、精子生産や生殖能力は減退し、男性不妊を引き起こす。
睡眠環境における騒音値と不妊の関連性
研究チームは、2006年から2013年に掛けて、「国家騒音情報システム(National Noise Information System)」を用いてデータ分析を実施した。該当年は、韓国国内の観測地点(1286~1372地点)にて、日中(7~19時)と夜間(23~翌7時)の騒音値を測定している。
20歳から59歳までの男性206492人を対象に騒音値を測定したところ、3293人(1.6%)は男性不妊と診断された。不妊との診断を受けた男性のうち、大半は睡眠環境の騒音値が55デシベル以上であり、WHO夜間騒音ガイドラインを立証したと報告されている。
また、データ分析結果より、騒音値が1デシベル上がるにつれて、男性不妊発症率も増加することが認められた。特に、不規則な生活習慣、飲酒や喫煙の程度が高く、通院・治療履歴のある男性は、低度の騒音値であっても不妊になる可能性が高まるという。
(画像はPixabayより)

ELSEVIER
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