治療技術の発見
淋病は、不妊の要因になるといわれる。オレゴン州立大学薬学部の研究チームは、淋病の新たな治療技術を発見した。ペブチド(アミノ酸結合物質)を用いて、感染症の原因となる細菌「ナイセリア・ゴノレア」の増殖を食い止めるという。
淋病と不妊
淋病は、淋菌性子宮内膜炎、骨盤内炎症性疾患(PID)、子宮外妊娠、精巣上体炎を引き起こし、男性・女性不妊の要因となる。症状の悪化は生殖器や胎児の健康に対して悪影響を与える。
淋病の病原菌はナイセリア・ゴノレアであり、性交為により感染する。ナイセリア・ゴノレアはスーパー耐性菌であり、抗生物質に対して高い耐性を持つ。治療薬が限られる為、治療効果のある抗生物質の必要性に迫られていた。
また、研究チームリーダであるアレクサンドラ・シコラ(Aleksandra Sikora)教授は、淋病の病原菌を保有者のうち過半数は症状が出なく、無自覚であると指摘する。女性の場合は50%以上が無症状であるが、一方、生殖器は影響を受け、早産や流産のリスクは高まる。
ペプチドを用いた新たな治療法
シコラ教授は、ペプチドにより、ナイセリア・ゴノレアが有するアニア酵素の亜硝酸還元を阻止されると突き止めた。
ナイセリア・ゴノレアの増殖には酸素が少なく、二酸化炭素が多い環境が必要であり、泌尿生殖路は最適な増殖環境となる。アニア酵素の亜硝酸還元が妨げられると、ナイセリア・ゴノレアは酸素が少ない環境にて生存できない。
現在、治療技術に対する暫定特許を申請中であり、アメリカ国立衛生研究所とオレゴン医療研究機構による支援のもと、研究は継続される。シコラ教授によると、今後、ペプチドとタンパク質の結合において、最も結合力の高い組み合わせを探す必要があるという。
(画像はPixabayより)

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