繰り返す流産と精子
「Human Reproduction」にて、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン、ユストゥス・リービッヒ大学ギーセン、ウィーン医科大学による研究チームは、原因不明の流産を2回以上繰り返す場合、精子に含まれるプロタミン1、プロタミン2mRNA量・比率が要因になると発表した。
プロタミンmRNAは、初期胚の成長に影響を与えるという。
小規模な臨床試験
男性不妊は、精子核に含まれる異型プロタミン比率により引き起こるといわれる。
ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン生殖センター、ウィーン医科大学内分泌・生殖医学科は、2014年から2016年に掛けて不妊外来を受診したうち、原因不明の流産を2回以上繰り返す女性のパートナーである男性を対象に臨床試験を実施した。
妊娠20週以前の流産を2回以上繰り返す女性のパートナー25人より採取した精子は、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン生殖センターにて体外受精や顕微授精を受ける男性107人と比べ、精子に含まれるプロタミン1、プロタミン2mRNAのCt値(生体組織のX線吸収係数)が僅かに高いことが認められた。
また、健康な男性より採取した精子と比べ、精子の直進運動率とプロタミン2mRNA量、精子の非直進運動率とプロタミン2mRNA比率には負の相関関係があったという。
プロタミンmRNAの与える影響
今回の研究において、メカニズムの解明には至っていない。研究チームは、精子に含まれるプロタミンmRNA量に焦点を当て、被験者数を増やした臨床試験を実施する必要があると考える。
メカニズムの解明には大規模サンプルデータに基づく分析が求められるが、一方、精子核に含まれるプロタミンmRNA量は、精子と卵子の受精、初期胚の成長に影響を与えることは断定できるという。
(画像はPixabayより)

Human Reproduction
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