PGDとPGSの効果
イタリアの研究者らは、「Human Reproduction」にて、胚胎盤の生体組織検査により遺伝子疾患や染色体異常が発見でき、妊娠率を改善させると発表した。
着床前診断(PGD)や着床前スクリーニング(PGS)における生体組織検査では、胚盤胞の染色体異数性(染色体の数的異常)、染色体異常、遺伝子疾患が特定できるという。
臨床試験の概要と結果
2011年10月から2016年5月に掛けて、30歳から40歳の女性を対象に、女性の胚盤胞2809個(新鮮胚2718個、凍結胚91個)を用いて臨床試験を実施した。胚盤胞2120個が受精に成功し、2102個が成長した。
受精卵2120個と凍結胚24個より1122個(52.8%)を採取し、外層の細胞5個から10個に対して染色体検査、遺伝子検査を実施した。着床前診断より、163個は単一遺伝子疾患、141個は染色体再配列と判明した。
着床前診断を経て着床前スクリーニングを実施した後、胚盤胞218個を子宮へ移植したところ、2017年1月までに99人が妊娠に至り、70人の健康な子供が誕生したと報告されている。
妊娠率は49%であり、体外受精による妊娠率の平均22~23%と比べ、遥かに高い確率となった。一度の流産を経て妊娠した女性13人、誕生した子供12人を加えると、出産率38.6%であった。
胚盤胞の染色体異数性
着床前診断より、胚胎盤316個は遺伝子疾患がなく、染色体構造が均衡であると診断された。その後、着床前スクリーニングを実施したところ、正しい染色体数である胚盤胞は28.2%であった。
染色体異数性の胚盤胞は、胚移植の失敗や流産、胎児の先天性異常を引き起こす要因になるといわれる。論文の主著者であり、生殖医療センターとヨーロピアン・ホスピタルのマリア・ジュリア・ミナシ(Maria Giulia Minasi)氏は、胚移植に伴い、着床前診断と着床前スクリーニングの実施を推奨する。
(画像はPixabayより)

Human Reproduction
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