大差ない認知能力
これまで、不妊治療は、誕生した子供の認知能力に悪影響を与えるといわれてきた。
今回、オックスフォード大学社会学部とナフィールド・ガレッジの研究チームは、「Human Reproduction」にて、不妊治療により誕生した子供の認知能力が低くなることはないと発表した。
分析データについて
研究チームは、「UK Millennium Cohort Study」(イギリス、2000~2001年、家族18552組)をデータ分析した。
「UK Millennium Cohort Study」では、イギリスにて体外受精と顕微授精により誕生した、3~11歳の児童を対象に、認知能力を測る目的で「British Ability Scales」を実施した。「British Ability Scales」では、3~5歳は語彙力、7歳は読解力、11歳は言語力を測定する。
その後、2000年から2001年に掛けて不妊治療により子供を授かった家族15281組のうち8298組は、2003、2005、2007、2012年に認知能力テストの追跡調査が行われている。(8298組中214組は体外受精・顕微授精)
データの分析結果
分析データより、体外受精により誕生した児童は、自然妊娠により誕生した児童と比べ、高得点であったという。合わせて、3~5歳のグループは、不妊治療と認知発達の関連性が確認できた。
調査対象となった家族において、不妊治療を受けるカップルは、自然妊娠により子供を授かったカップルと比べ、平均年齢が4、5歳上であり、学歴や社会経済的地位が高い。特に、女性は仕事を持ち、社会的地位が高かった。
研究チームのオックスフォード大学社会学部メリンダ・ミルズ(Melinda Mills)研究教授は、両親のバックグラウンドが生殖補助医療に伴うリスクを打ち消し、不妊治療により誕生した児童の認知能力に対して好ましい影響を与えると推測する。
また、両親のバックグラウンドによる肯定的効果が11歳までと長期間に亘り、不妊治療により誕生した児童の認知能力に対して影響を与えることは重要であると述べている。
(画像はPixabayより)

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