手軽で迅速な精液分析診断検査
精液分析は、男性不妊の診断基準であるといわれる。Manoj Kumar Kanakasabapathy氏などの研究チームは、サイエンス誌「Science Translational Medicine」にて、スマートフォンを利用する自動精液分析診断検査を開発したと発表した。
自宅など医療機関外の場所にて、非医療従事者による精液分析検査が可能になる。専用デバイスを直接スマートフォンに接続することにより、迅速に精液分析検査が実施できる。専用デバイスの価格は低く設定されるという。
自動精液分析診断検査の利点
現在、多くの医療機関は、精子分析検査として精子運動解析を実施している。精子運動解析は、実施者や検査機関が限られる為、手間と時間が掛かり、費用は高額である。
一方、スマートフォンによる精液分析検査は、実施者や検査場所を選ばず、手軽に実施できる。検査時間は短縮でき、費用負担も軽減できる。また、正確度・精度は、精子運動解析と大差ないという。
スマートフォンアプリによる検査方法
専用デバイスは無線通信機能を搭載した計量器であり、使い捨てタイプのマイクロ(微小)流体素子である。
スマートフォンを利用する自動精液分析診断検査では、精液量、精子濃度や精子数、精子運動率、直線速度や曲線速度が分かる。
専用デバイスからスポイト状のチップを取り外し、新鮮で採取したままの状態である精液サンプルを吸引する。チップを専用デバイスに取り付け、スマートフォンアプリを初期化すると、精液サンプルが読み込まれて画像解析が行われる。
研究チームは、スマートフォンを利用する自動精液分析診断検査が標準治療として導入されることを目指し、取り組み続けている。
(画像はScience Translational Medicineより)

Science Translational Medicine
http://stm.sciencemag.org/content/9/382/eaai7863