新たな治療法「AUGMENT」
3月28日、世界的な不妊治療企業OvaScience社は、新たな不妊治療法「AUGMENT」に関する一連の臨床試験結果を公表した。
AUGMENT治療とは、体外受精前に卵子の質を改善する目的で実施する治療法であるという。
OvaScience社最高経営責任者のミシェル・ディップ(Michelle Dipp)氏は、体外受精前にAUGMENT治療を行うことで卵子の質を高め、結果、体外受精の失敗を3回から7回繰り返す女性の妊娠率を増加させたと明言した。
AUGMENT治療の手順
まず、生体組織検査にて患者の卵巣組織サンプルを採取する。
次に、卵巣内未熟卵胞(卵子の前駆細胞など)より、ミトコンドリアを分離する。ミトコンドリアは細胞内にてエネルギーを生産する役割がある。
最後に、専門家が患者のミトコンドリアと精子を結合し、卵子と受精を行う。ミトコンドリアはサプリメントとなり、体外受精の間、卵子は一定の質を保ち続けられるという。
臨床試験の結果
卵子の質は年齢に影響を受けるため、体外受精成功率は30%程度であると言われている。
体外受精の先駆者であるクトゥルク・オクタイ(Kutluk Oktay)医師やロバート・F・キャスパー(Robert F. Casper)医師は、卵子の質が低く、体外受精の失敗を3回以上繰り返す、27歳から41歳の女性に対して臨床試験を行ったところ、体外受精成功率が増加したと報告している。
体外受精に加えてAUGMENT治療を実施した結果、体外受精成功率が25%から53%となったという。
医師らは臨床試験の結果は期待でき、被験者の対象を広げたうえで引き続き臨床試験を実施すると述べている。
現在、AUGMENT治療は、世界中の限られた体外受精クリニックにて受けられるという。なお、アメリカでは利用不可となっている。
(画像はOvascienceより)

BusinessWire
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http://www.augmenttreatment.com/#why-augment