無精子症とX染色体の遺伝子突然変異
ペンシルベニア大学のジェレミー・ワン(Jeremy Wang)氏率いる研究チームは、無精子症(非閉塞性無精子症)の原因がX染色体に存在する「TEX11」の遺伝子突然変異であると突き止めた。
無精子症は男性不妊のなかで最も深刻な症状であり、全男性の約1%を占める。また、不妊に悩む男性のうち6分の1が無精子症であると言われている。
研究チームは、15年前の研究開始当初より、「TEX11」はX染色体に存在する特殊な生殖細胞であると認識していた。
2008年にマウスを用いた実験を実施したところ、「TEX11」の分裂により、雄マウスに不妊状態が生じたという。実験を通して、「TEX11」の分裂は生殖細胞の成熟化を食い止め、生殖細胞が卵子・精子と変化する過程を妨げると分かった。
遺伝的要因の無精子症
研究チームは、非閉塞性無精子症の男性1%に「TEX11」の遺伝子突然変異を発見したと報告している。また、無精子症の男性を対象にゲノムサンプルを採取して調査したところ、3種類の類似した「TEX11」の遺伝子突然変異を発見したという。
また、ワン氏は、無精子症は遺伝要素もあると述べている。母親が「TEX11」の遺伝子突然変異を保有する場合、その息子は遺伝的に無精子症となる。子は母親と同じ遺伝物質(「TEX11」の遺伝子突然変異)を受け継ぐことはないが、遺伝子のパターン・特質は母親から子へと引き継がれるという。
ワン氏は、今回の研究にて発見された遺伝子突然変異と同じ遺伝物質を確認できた場合、それが男性不妊の原因であると断定している。
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