子供の性別選択が可能に
広島大学の研究チームは、「PLOS Biology」にて、マウスを用いた動物モデル実験において、精子分離技術により、体外受精の性別選択が可能になると発表した。マウスに対して精子分離技術を用いたところ、精子のDNAを損傷させずにY染色体の精子からX染色体の精子を分離できたと報告された。
倫理的問題は別として、将来、体外受精の精子と卵子の受精前に、精子分離を通して子供の性別を選択できるという。
性決定のメカニズム
ヒトの性染色体には2種類(X、Y)あり、子供の性別は精子と卵子の受精時に決まる。ヒトを含めた哺乳類の精子は、X染色体をもつ精子とY染色体をもつ精子が存在し、DNAを除き、同一であると考えられる。精子のもつ染色体が子供の性決定に影響を与え、XXは女、XYでは男となる。
精子分離技術では、体外受精において、性染色体に基づいて受精させる精子を選別することにより、子供の性決定が可能になるという。
運動率による精子選別と子供の性決定
研究チームは、子供を女性にするX染色体の精子に、492遺伝子が活性化していることを確認した。これらの遺伝子はY染色体の精子では不活性であり、これにより、X染色体の精子と受精した場合、子供の性別が女性になる。
また、X染色体のうち18個は受容体をエンコードし、刺激に対する反応から精子操作候補となった。タンパク質2つに結合する化学物質は、Y染色体をもつ精子に影響を与えず、X染色体をもつ精子の運動を遅くさせる。
化学物質が精子に与える影響に基づくとX・Y染色体の精子を容易に分離でき、子供の性決定が可能になった。
マウスを用いた動物モデル実験では、運動率が高く、遊泳速度の速い精子と卵子を受精させた場合、子供がオスになる確率は90%であったと報告されている。一方、運動率が低い精子では、81%がメスの子供であった。
(画像はPixabayより)

The Telegraph
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