子宮の正常発達における不可欠要素
マサチューセッツ総合病院の研究チームは、「eLife」にて、正常に機能する子宮を形成するうえで、ミュラー管抑制物質(MIS)の受容体「Misr2+」が不可欠であることが認められたと発表した。
Misr2+細胞により、男性の身体では子宮形成が行われない。一方、女性には子宮の形成を活性化させる役割を担う。
哺乳動物の発生時は両性
子宮の健康や女性不妊を理解するうえで、子宮の発達を含めた生物学的プロセスは重要になってくる。
哺乳動物が母親の胎内にて発生した際、男性または女性になるために必要な全ての予備的な性的構造を持っている。その後、胎児が女性になる場合、ファローピウス管、子宮、子宮頸部、膣に進展するミュラー管が発達する。
一方、男児ではミュラー管が退化し、ミュラー管抑制物質が分泌され、女性の生殖機器を生じさせる構造の成熟を防ぎ、精巣の発達が促される。
Misr2+細胞と女性の生殖機器
研究チームは、げっ歯類を用いた動物モデル実験を行い、母親の胎内にいる胎児に対してミュラー管抑制物質を投与した。誕生後の新生児の子宮細胞を分析したところ、子宮内膜の発達に関与する細胞が検知されなかった。
実験結果より、ミュラー管抑制物質に晒されるとMisr2+細胞の働きが阻害され、正常に機能する子宮を形成することができないと認められた。
Misr2+細胞は、女性にとってゲートキーパーとなる生殖細胞であり、ミュラー管抑制物質に対する受容体を発現させる。ミュラー管抑制物質に対する受容体の発現を継続させ、女性の生殖機器を発達させるという。
今回の研究では、子宮の発達異常が生じるメカニズムが確認でき、子宮を起因とする女性不妊を解決する糸口になると期待される。
(画像はPixabayより)

eLife
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