胎盤異常の要因に対する新たな洞察と潜在的治療
メリーランド大学医学部(UMSOM)の研究チームは、「Endocrinology」にて、胎盤異常を防ぐ治療の開発に向けて、重要な見解を示した。
胎盤異常は、子癇前症(妊娠高血圧)、早産、胎児の成長異常などの要因となる。
ヒトを含めた霊長類は、妊娠初期にエストロゲン(女性ホルモン)の量が上昇することにより、子宮動脈にて異常が生じることが確認された。子宮動脈に異常が生じると胎盤への血液量が少なくなり、胎児に送る栄養が減少する。
子宮動脈の柔軟性を高めて妊娠期の血液量を増加させて適応するのではなく、胎盤、つまりは胎児に対する血液の流れや酸素供給を妨げるエストロゲン量の増加に伴い、子宮動脈のリモデリング(再構築)にて動脈の堅さを維持する。
しかしながら、これまで、胎盤異常が引き起こす症状を防ぎ、軽減する効果的な治療は確立されていなかった。
血管内皮増殖因子による治療効果
今回、初めて、子宮内膜に接する母親側の胎盤にシグナルタンパク質の血管内皮増殖因子(VEGF)を送ることにより、症状が回復すると確認された。妊娠に伴いエストロゲン量が上昇した霊長類に対して、妊娠初期に成長因子の血管内皮増殖因子を用いて治療したところ、子宮動脈のリモデリングが高まった。
研究チームは、血管内皮増殖因子は、胎盤への適切な血流を促進し、子宮動脈のリモデリングに異常を生じさせる妊娠合併症を防ぐと報告した。
エストロゲンは子宮動脈のリモデリングを妨げる。妊娠初期に子宮動脈のリモデリングが進まない場合、胎盤への血流が減り、胎児の成長に悪影響を及ぼす。胎児の体重は平均と比べて10%減になったという。
(画像はプレスリリースより)

UNIVERSITY of MARYLAND
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