年齢上昇に伴う男性の生殖能力
6月26日、生殖遺伝医療センター(イギリス・ロンドン)とユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン女性健康研究所の研究チームは、ヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)の「第35回ESHRE会議」(6月23~26日、オーストリア・ウィーンで開催)にて、女性同様、男性の生殖能力も生物学的老化により衰えると発表した。
女性の場合、平均51歳にて卵巣機能や女性ホルモン産出の停止に伴い閉経し、生殖能力の永久的な終わりを迎える。
年齢が上昇するにつれ、精子数は減少し、精子細胞のDNA損失は増加する。 つまり、男性の生殖能力は、生物時計により制御されている。男性の年齢上昇に伴い、自然生殖能力は衰え、流産率は高まるという。
男性の年齢と生殖能力における関係性
研究チームは、2009年から2008に掛けてロンドンの生殖遺伝医療センターにて、不妊の男性4271人、体外受精および顕微授精4833サイクルを対象に、男性の年齢と生殖能力における関係性を検証した。
年齢別(35歳以下、36~40歳、41~45歳、46~50歳、51歳以上)にて比較したところ、世界保健機関(WHO)が定める基準を満たす精子は、51歳以上が42.1%、51歳以下では61.1%であった。
また、妊娠率の低下は、男性が35歳以上より認められた(35歳以下51.1%、40歳以上21.7%)。合わせて、男性の年齢上昇に伴って妊娠率は低下した(35歳以下49.9%、36~40歳42.5%、41~45歳35.2% 、46~50歳32.8%、51歳以上30.5%)。
それゆえ、父親となる男性が51歳以上である場合、体外受精・顕微授精の成功率は顕著に減少した。一方、今回の調査では、男性の年齢と流産率の低下に因果関係は認められなかった。
生殖遺伝医療センターのガイ・モリス(Guy Morris)博士は、生殖補助医療において、父親となる男性が51歳以上である場合、成功可能性に悪影響を及ぼすと結論付ける。
(画像はPixabayより)

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