凍結保存期間による影響
長沙・湖南精子バンク(中国)のチョワン・ホワン(Chuan Huang)博士は、ヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)の「第35回ESHRE会議」(6月23~26日、オーストリア・ウィーンで開催)にて、精子バンクにて長期凍結保存した精子を用いて妊娠・出産を試みた場合、大半は凍結保存期間による差異はなく、出生率に影響を与えないと発表した。
今日、多くの国では保存期間に伴う精子細胞のDNA損傷リスクを懸念し、精子バンクにおいて精子の凍結保存期間に制限が設けられている。
凍結保存期間と妊娠率・出生率
研究に際して、長沙・湖南精子バンクでは、精子ドナーより精液を119558サンプル採取し、3パターンの保存期間(6ヶ月~5年、6~10年、11~15年)にて凍結保存した。
保存期間が15年以上の精子では、解凍後、凍結精子の生存率は85%から74%に減少した。しかしながら、減少率は小さく、3パターンの保存期間にて凍結保存した精子を人工授精させたところ、妊娠率・出生率は大差なかった。また、体外受精では、人工授精と比べ、妊娠率・出生率が僅かながら高くなった。
ただし、ホワン博士は、当精子バンクに凍結保存された精子の質が良く、家族歴に遺伝性疾患がないことが、今回の研究において高い妊娠率・出生率に導いた要因であると考える。一方、精子の質などの要因を含めても、精子の長期凍結保存は、妊娠率・出生率に影響を与えないと結論付けられるという。
(画像はPixabayより)

ESHRE
https://www.eshre.eu/NEWS MEDICAL
https://www.news-medical.net/