生物の発生メカニズムを解明
ロックフェラー大学の研究チームは、「Nature Cell Biology」にて、幹細胞を用いた初期胚組織の3次元モデルにより、ヒト胚の初期段階における成長をシミュレーションできたと発表した。シミュレーションを通して、胚の成長過程を解明でき、健康な妊娠を促進するイノベーションを導けると期待される。
また、3次元モデルは遺伝子状態まで模倣され、胚の成長過程に加えて、遺伝子疾患に関する解明をも進むという。
健康な妊娠を促進
ヒト胚は急激な成長を繰り返すが、母親の子宮内にて成長するため、胚の変化を調査するのは極めて難しい。2014年に同大学のアリ・H・ブリバンルー(Ali H. Brivanlo)氏は、幹細胞を用いた初期胚の模倣に初めて成功している。
しかしながら、初期胚モデルは2次元であり、胚の実形状とは異なり、研究対象として限界があった。例えば、2次元モデルでは、胚が子宮に着床する過程など複雑なプロセスを解明することは不可能であった。
今回の3次元モデルは、複雑なプロセスもシミュレーションできる。胚が黄色と緑色の細胞へと二分化する様子まで明確になっている。約14日目原腸陥入(初期胚に確認される非常に複雑かつ協調的な運動であり、胚の分化など成長段階において特に重要な時期) までの胚の成長をシミュレーションできるという。
(画像はプレスリリースより)

THE ROCKEFELLER UNIVERSITY
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