鉄分の摂取量による効果
ボストン大学公衆衛生大学院の研究チームは、「The Journal of Nutrition」にて、鉄分の摂取と妊娠の可能性に関連性は認められず、鉄分の摂取量に伴い生殖能力、妊娠可能性が高まることはないと発表した。
これまで、ビタミン・鉄分は女性の生殖能力、妊娠可能性に肯定的な影響を与えるといわれてきた。先行研究では、植物性食品に含まれる鉄分および鉄分サプリメントの摂取により、排卵を原因とする女性不妊が改善すると報告された。
しかしながら、根拠は不明確であった。今回、鉄分には女性の生殖能力を改善する効果はなく、妊娠を望む女性が動物性・植物性食品に含まれる鉄分、鉄分サプリメントの摂取量を増やしたとしても、摂取量に伴って生殖能力は改善せず、妊娠可能性は高まらないことが認められた。
鉄分の摂取と妊娠可能性における関係性
研究チームは、妊活中の女性(約3000人)を対象にした妊娠に関するオンライン調査「PRESTO」(ボストン大学公衆衛生大学院が実施)、妊活中の女性(1700人)を対象にした「Snart Foraeldre study」(デンマークにて実施)を用いて、鉄分の摂取と妊娠可能性における関係性を検証した。
被験者は、食生活に関するアンケート調査に対して、食事内容や摂取したサプリメントの種類・頻度を回答した。合わせて、月経周期に合わせて妊活を行い、上限12周期目まで自然妊娠を試みた。
なお、ヘム鉄は牛・豚・鶏肉、魚などの動物性食品肉、非ヘム鉄は野菜、穀物、貝類といった植物性食品に含まれている。
アンケート調査より、ヘム鉄を含む動物性食品、非ヘム鉄を含む植物性食品、鉄分サプリメントの摂取量を測定し、受胎確率(月経周期1~2回における妊娠確率)を比較したところ、食事のみから鉄分を摂取する場合、食事での不足分を鉄分サプリメントにて補った場合、どちらも受胎確率に大差なかった。
研究チームは、鉄分の摂取量と妊娠可能性に関係性がないと結論付けている。しかしながら、重い月経痛により鉄不足が深刻である、月経の間隔が短い女性は鉄分の摂取量を増加する必要があり、摂取量の増加に伴い効果も高まると補足する。
(画像はPixabayより)

he Journal of Nutrition
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