父親の精巣癌治療が与える影響
6月4日、ルンド大学(スウェーデン)の研究チームは、「PLOS Medicine」にて、父親の精巣癌治療歴と子供の先天性異常・先天性奇形は関係性がないと発表した。
父親に放射線療法・化学療法による精巣癌の治療歴があったとしても、子供に先天性異常・先天性奇形が生じる可能性は増加しないという。
これまで、放射線療法・化学療法は、ヒトをはじめ動物の精子に突然変異、遺伝子損傷を引き起こすと考えられてきた。また、精巣癌は若い世代に影響を与え、癌治療を受けた父親をもつ子供は、遺伝的疾患や先天性欠損になる可能性が増加すると報告されていた。
精巣癌治療と子供の先天性異常における関係性
研究チームは、スイス国内出生登録(1994~2014年)を用いて、精巣癌治療と子供の先天性異常における関係性を検証した。登録データからは凍結精子の利用有無、精子提供の有無、放射線療法・化学療法の有無は確認できなかったが、子供の先天性異常リスクは増加していなかった。
また、精巣癌の治療を受けた父親2380人と子供4207人を対象に、子作りと精巣癌治療のタイミング(癌治療の完了後に妊活、あるいは妊活後に癌治療の開始)より、子供における先天性異常の発生率を比較した。
精巣癌の放射線療法・化学療法を完了し、その後に子供をもうけた場合、妊活後の癌治療開始と比べ、子供の先天性異常に大きなリスクは認められなかった。
研究チームは、精巣癌の放射線療法・化学療法を要因として、子供における先天性異常の可能性増加は僅かであり、因果関係は認められないと結論付けている。
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