フタル酸エステルが与える影響
ジュネーヴ大学とジュネーヴ大学病院の研究チームは、「PLOS One」にて、フタル酸エステル感受性には個々の遺伝的要素が大きく影響すると発表した。
フタル酸エステルの危険性
フタル酸エステルは、プラスチック容器、玩具、衣類、哺乳瓶、化粧インなど日常生活において幅広く使用されている。しかしながら、内分泌撹乱物質であり、内分泌システムに悪影響を与えると懸念されている。
胎児が男児の場合、フタル酸エステル曝露により、精子形成に関与する遺伝子発現の制御する要素が変わり、生殖能力に影響が生じる。
フタル酸エステル曝露と遺伝的・後成的な変化
研究チームは、2015年にマウスを用いた動物モデル実験を行い、フタル酸エステルの影響を観察した。妊娠期の雌マウスをフタル酸エステルに晒したところ、雄の胎児に影響が生じ、精子濃度、精子の質が低下した。一方、フタル酸エステル曝露が雄の胎児に対して与える影響には、個体差が認められた。
今回、研究チームは、妊娠期の雌マウス(妊娠8~18日目)を対象に、8日間、フタル酸エステルに晒し、精子形成に関与するゲノムの特定部分における遺伝的・後成的(エピジェネティック)な変化を検証した。
雌マウスがフタル酸エステルの影響を受けやすい場合、ゲノムのホルモン結合部位が特定できた。一方、フタル酸エステルに対する抗力が高いマウスには、認められなかった。研究チームは、ゲノムのホルモン結合部位をフタル酸エステルが結束し、遺伝子が不活性化している部分であると推測する。
また、後成的影響により、精子形成遺伝子の発現は妨げられ、遺伝子が正常に発現できなくなる。少なくとも2世代に亘って、世代間の遺伝的引き継ぎは行われなかった。
(画像はプレスリリースより)

UNIVERSITE DE GENEVE
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