妊娠前の母親の体重による影響
ルイジアナ州立大学健康科学センターの研究チームは、「PLOS ONE」にて、妊娠前の母親が太りすぎ、あるいは肥満であった場合、母乳成分が変化し、子供の成長に影響を与えると発表した。
妊娠成立時の母親の体重状態により、母乳成分が変わるという。母乳成分は乳幼児の成長に影響するが、今回の研究を通して、妊娠前の母親の体重状態が乳幼児の成長を左右することが認められた。母親が妊娠前から太り過ぎ・肥満であった場合、その子供は母乳に対する成長反応が低いという。
母乳の成分が与える影響
母乳には、TNF-α(脂肪細胞から分泌される生理活性物質で筋肉・脂肪組織、肝臓での糖の働きを抑制する)、IL-6(T細胞やマクロファージなどの細胞から産生され、液性免疫を制御する)といった炎症誘発性タンパク質、ホルモン(インスリン、レプチン)、抗炎症多価不飽和脂肪酸(オメガ3(DHA)、オメガ6(FPA))が含まれる。
しかしながら、これまで、母乳の成分が乳幼児の成長に与える影響は解明されていなかった。
妊娠前の母親の体重と母乳成分における関係性
研究チームは、乳幼児(生後4~8週間)を対象に、母親の体重状態、母親の血中および母乳の成分、乳幼児の成長における関係性を検証した。
なお、被験者の母親グループは、妊娠前からBMI値が標準、妊娠前からBMI値が太り過ぎ・肥満に分類される。
乳幼児の体重・身長・頭囲・体脂肪率に対する多価不飽和脂肪酸、炎症マーカー、ホルモンを比較したところ、母親の妊娠前のBMI値に関わらず、母乳の炎症促進性は乳幼児の成長を関連性があると認められた。一方、太り過ぎ・肥満の母親から誕生した子供は、母乳に対する成長の反応性が低かった。
研究チームは、母親が妊娠前から太り過ぎ・肥満であった場合、その子供は、代謝的プログラムにより母乳に対する成長反応が好ましくないと結論付けている。
(画像はプレスリリースより)

LSU Health
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