前期破水の治療確立に向けて
クイーン・メアリー(ロンドン大学)とユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームは、「Scientific Reports」にて、新たなアプローチにより胎膜の欠陥・損傷を治療し、妊娠37週未満の前期破水、早産などの出産合併症を防げると発表した。
胎膜の役割とは
胎膜は、母親の子宮内にて胎児を包む膜状のものであり、漿膜(しょうまく)・羊膜・尿膜から成る。胎児が成長するうえで、胎膜の整合性は非常に重要である。胎膜に欠陥が生じる、あるいは損傷した場合、妊娠終了まで治癒することはないといわれる。
胎膜の損傷は、妊娠37週未満の前期破水(PPROM)、早産を引き起こす。胎膜における欠陥・損傷の治療法は確立されてなく、妊娠37週未満の前期破水、早産に至るのが現状である。
新たなアプローチの可能性
妊娠期に羊膜の収縮が繰り返すと早産、妊娠37週未満の前期破水を生じさせる要因となる。研究チームは、妊娠期における羊膜の収縮を繰り返させる分子メカニズムを特定し、生体工学と製薬を組み合わせたアプローチによりタンパク質「コネキシン43(Cx43)」を分解することに成功した。
コネキシン43の分解・減少によって、皮膚の再生のように胎膜の組織治癒・修復が促されるという。研究チームは、将来的に、生体工学と製薬を組み合わせたアプローチは胎膜の欠陥・損傷を治癒・修復し、前期破水や早産の防止を可能にすると期待する。
(画像はプレスリリースより)

Queen Mary
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