健康な腸内細菌の効果
カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部の研究チームは、3月25日、米国内分泌学会「ENDO 2019」(3月23~26日、米国ニューオーリンズで開催)にて、マウスを用いた動物モデル実験を行い、健康な腸内細菌により多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症状が改善されると発表した。
また、多嚢胞性卵巣症候群の女性は、腸内マイクロバイオーム、あるいは腸内細菌の構成において多様性が低くなる傾向にあると報告された。
同大学のヴァリキナ・サッカレー(Varykina Thackray)教授は、プレバイオティスク、あるいはプロバイオティクスにて腸内細菌を変化させることが、多嚢胞性卵巣症候群の潜在的治療になると説明する。
多嚢胞性卵巣症候群とは
多嚢胞性卵巣症候群は出産適齢期の女性におけるホルモン障害であり、卵巣の嚢胞性卵胞、男性ホルモン分泌量の増加、排卵・月経不順、多毛、体重増加といった精神的苦痛を伴う症状が生じる。また、女性不妊、流産、妊娠合併症、2型糖尿病、高血圧、鬱病などの要因にもなる。
多嚢胞性卵巣症候群の原因は特定されていないが、薬物治療、食事や運動改善により、症状は緩和できるといわれる。
多嚢胞性卵巣症候群と腸内細菌における関係性
研究チームは、マウスを用いた動物モデル実験を行い、5週間の飼育環境を通して多嚢胞性卵巣症候群と腸内細菌における関係性を検証した。
雌マウスは、レトロゾール錠を投与してテストステロンからエストロゲンへの変換を食い止め、テストステロン量を上昇させ、多嚢胞性卵巣症候群の状態にした。
多嚢胞性卵巣症候群の雌マウスを単独で飼育した場合、多嚢胞性卵巣症候群の雌マウスと健康なマウスと同じケージにて飼育した場合を比較した。
健康なマウスと同じケージにて飼育した多嚢胞性卵巣症候群の雌マウスは腸内細菌が改善され、単独飼育と比べ、テストステロン量が改善し、正常な排卵・月経サイクルになった。
また、体重の減少、空腹時血糖やインスリン値の低下が認められた。研究結果より、サッカレー教授は、腸内細菌の変化が多嚢胞性卵巣症候群の改善になると結論付けている。
(画像はENDOCRINE SOCIETYより)

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