体外受精への展望
オレゴン健康科学大学の国立霊長類研究センターは、「Genome Research」にて、ヒト以外の霊長類モデルにおいてモザイク胚を用いた体外受精を行ったところ、モザイク胚が異常に適応したうえで成長を続け、体外受精は成功したと発表した。
モザイク胚とは
正常な胚では、全ての細胞が染色体46本を有する。一方、モザイク胚では、染色体変異のある細胞(大半は染色体数が少ない)、正常な細胞が混在する。
ヒト胚のうち80%がモザイク胚であるといわれる。染色体異常は、体外受精の失敗、流産、特定の遺伝性疾患・遺伝子疾患、出生異常・先天性欠損症を引き起こす要因であり、モザイク胚は、体外受精の胚移植に不適である。
モザイク胚の可能性
研究チームは、アカゲザルを用いた動物モデル実験を行い、タイムラプスイメージング、シングルセルシーケンスにて、モザイク胚の成長過程を追い続け、モザイク現象と生物学的プロセス(細胞の断片化、割球の発生)における関係性を特定した。
体外受精後、受精卵は子宮内にて分割し、大きな細胞である割球(受精卵の卵割より生じた未分化の細胞)が形成され、細胞は細分化されていく。
同大学のショーン・L・チャベツ(Shawn L. Chavez)准教授によると、これまで、DNAを有する細胞の細胞分裂・断片化に伴い、胚は、遺伝子異常がある割球を特定し、成長を止めると考えられてきた。
しかしながら、今回の研究を通して、正常な胚であっても体外受精が成功するとは限らず、一方、モザイク胚であっても体外受精が成功することが判明した。
研究チームは体外受精治療に対して新たな展望となり、モザイク胚による体外受精における成功可能性を示唆する。
(画像はプレスリリースより)

OHSU
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