不妊治療の新たな可能性
インペリアル・カレッジ・ロンドンなどイギリスの研究者らは、「第34回欧州泌尿器科学会議(EAU2019)」にて、不妊男性の精巣から直接採取した精子DNAは、健康な男性の精子DNAと質は同じであると発表した。
精巣でつくられた精子は細長い管を経て射精されるが、今回の研究より、射精の過程にて、酸化ストレスなどのダメージを受け、質が低下することが判明した。
これにより、男性不妊の主要な要因が解明され、不妊治療において、新たな可能性が開ける。
精巣から採取した精子と射精にて放出された精子の質
研究チームは、顕微授精(ICSI)に失敗した不妊男性63人と健康な男性76人を対象に精巣から精子を採取し、射精にて放出された精子と質を比較した。
また、精巣から採取した精子と射精にて放出された精子のDNA鎖切断2種類を分析した。
射精にて放出された精子の場合、不妊男性は精子DNAの損傷損率は約40%であり、健康な男性(約15%)に比べ、高くなった。一方、精巣から直接採取した精子は、不妊男性、健康な男性ともに大差ないことが認められた。
研究チームは、精子DNAの損傷が、精巣での生産後から射精に至る過程において、酸化ストレスにより生じると結論付けている。
酸化ストレスは、1日中パソコンの前に座っている、喫煙するなど生活習慣や食生活の乱れが要因である。また、慢性疾患や糖尿病2型も酸化ストレスを引き起こす。
今後、精巣から精子を直接採取し、不妊治療に用いることにより成功率は高まると期待される。
(画像はPixabayより)

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