遺伝子検査と胎児の発達異常診断
ウェルカム・サンガー研究所、ケンブリッジ大学、バーミンガム大学、グレートオーモンド・ストリート病による共同研究チームは、「The Lancet」にて、遺伝子検査が胎児の発達異常における診断精度を改善すると発表した。
現状、胎児の発達異常において、出産前超音波検査にて診断可能なのは約3%にとどまるといわれる。また、出産前超音波検査では発達異常の特定に限り、疾患・障害の可能性、成長に伴う異常の進行など発達異常を分析することは不可能である。
今回、ゲノム解析を用いた場合、超音波により胎児の発達異常を特定でき、診断精度は約10%まで向上したと報告された。一方、ゲノム解析を用いない場合、在胎期には発達異常を特定できず、胎児が誕生するまで発見できなかったという。
ゲノム解析による診断精度
研究チームは、発達異常と診断された胎児610人、生物学的な両親1206人に対して、全エクソーム解析を行った。
ゲノム解析による診断では、胎児の心臓欠損・欠陥、骨格異常、臓器不全において、従来の出産前超音波検査と比べ、診断精度は向上した。
ウェルカム・サンガー研究所のマシュー・ハーレス(Matthew Hurles)博士は、遺伝子検査では、超音波スキャンにより問題の根本的要因を特定でき、医師は家族に対して、胎児の状態をより明確に伝えられると述べる。
(画像はプレスリリースより)

Wellcome Sanger Institute
https://www.sanger.ac.uk/