子宮内膜スクラッチ法による効果
オークランド大学の研究チームは、「New England Journal of Medicine」にて、子宮内膜スクラッチ法の効果は期待できないと発表した。
体外受精の失敗経験がある女性を含めて、子宮内膜スクラッチ法には、体外受精の出生率を高める効果は認められなかった。
また、子宮外妊娠や多胎妊娠において、子宮内膜スクラッチ法を実施した場合の出生率は、実施していない場合と比べ、大差なかったという。
出生率の向上を目的に
研究チームが、2016年にオーストラリア、ニュージーランド、イギリスの医療機関を対象に調査を行ったところ、83%が体外受精の実施前、特に体外受精の失敗を繰り返す女性に対して子宮内膜スクラッチ法を推奨していた。
同大学のサラ・レンセン(Sarah Lensen)教授は、多くの医療関係者が子宮内膜スクラッチ法により体外受精の出生率が高まると信じていると指摘する。
子宮内膜スクラッチ法と体外受精の出生率における関係性
研究チームは、ニュージーランド、オーストラリア、イギリス、スウェーデン、ベルギーにて体外受精(新鮮胚・凍結胚)を受ける女性1365人を対象に、子宮内膜スクラッチ法と体外受精の出生率における関係性を検証した。
子宮内膜スクラッチ法を実施した女性グループの出生率は、実施しなかったグループと比べ、大差ないことが認められた。
また、子宮内膜スクラッチ法には、個人差はあるが、軽度の痛みが伴い、過剰な痛み、失神など副作用が生じることもあると報告されている。
研究チームは、子宮内膜スクラッチ法には出生率を高める効果はなく、医療関係者に対して施術を止めることを推奨する。
(画像はプレスリリースより)

UNIVERSITY OF AUCKLAND
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