繰り返される流産の要因
インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、「Clinical Chemistry」にて、流産が繰り返される一因として、パートナーである男性の精子に欠陥があると発表した。
なお、流産は妊娠22週未満で何らかの異常が生じて妊娠が終了してしまう状態であり、妊娠20週未満の流産を3回以上繰り返した場合、不育症と定義される。
精子の質と流産の関係性
研究チームは、男性50人程度(平均年齢37歳)を対象に、精子の質と流産の関係性を検証した。被験者のパートナーである女性は流産を繰り返し、3回以上の流産を経験している。
今回の研究では、平均年齢は異なるが、被験者グループを妊娠が終了せず出産に至った女性のパートナーである男性グループ(平均年齢30歳)と比較した。
2グループの精子を比較したところ、被験者グループでは、精子DNAの損傷が2倍、精子内の活性酸素が4倍に増加した。なかでも、肥満、加齢は、精子におけるDNA損傷、活性酸素を高める要因であることが認められた。
精子内で活性酸素が発生することにより、精子DNAの損傷が生じる。活性酸素はバクテリアから身体を守るが、一方、精子DNAに損傷を与える。
論文主著者であるチャナ・ジャヤセーナ(Channa Jayasena)博士は、これまで、繰り返される流産の要因は女性側にあると考えられ、パートナーである男性の精子は分析されなかったが、精子は胎盤の形成に重要な働きを担い、胎児への栄養・酸素供給に大きく影響すると指摘する。
(画像はプレスリリースより)

Imperial College London
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