新規経口抗菌剤の有益性
アメリカ国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)は、「New England Journal of Medicine」にて、臨床試験より、淋病の治療において、新規の経口抗菌剤ゾリフロダシンの服用が有益であることが認められたと発表した。ゾリフロダシン錠は、エンタシス セラピューティクス社により開発された。
淋病とは
淋病は性行為感染症(STD)であり、男女ともに性行為を介して感染する。骨盤内炎症疾患(PID)、子宮外妊娠、HIV感染症を引き起こし、男性・女性不妊の要因になる。また、妊娠期の女性が淋病に感染した場合、胎児も感染し、盲目のリスクが高まり、さらには命に関わる病気を招く。
淋病の病原菌は、ナイセリア属グラム陰性双球菌である。近年、スーパー耐性菌(あらゆる抗生物質に耐性があり、死滅しない超強力な細菌)の淋病が増加傾向にあり、有効な治療薬が限られてきている。
確実な治療効果を期待できるのは、セフトリアキソンの静脈注射(単回投与)とアジスロマイシン錠の服用といわれる。
治療への導入に向けて
臨床試験は、ルイジアナ州立大学健康科学センター監修のもと、2014年11月から2015年12月に掛けて、アメリカ数都市にある性感染症・性病専門の医療機関を受診する179人(男性167人、妊娠していない女性12人、18~55歳)を対象に実施された。被験者は、14日以内に淋病保菌者と性行為をしている。
被験者に対して、ゾリフロダシン錠2mg・3mg、あるいはセフトリアキソン500mgの静脈注射を投与したところ、治療効果に大差なかった。
現状、淋病の治療では、セフトリアキソン注射が第一選択剤であるが、臨床試験結果より、新規経口投与剤ゾリフロダシン錠の有効性と安全性が認められた。今後、更なる臨床試験を重ね、淋病の治療へ導入される。
(画像はプレスリリースより)

NIH
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