男性不妊と前糖尿病
ヴィータ・サルーテ・サン・ラッファエーレ大学 (イタリア)の研究チームは、「BJU International」にて、前糖尿病(糖尿病予備軍)と男性不妊は関係あると発表した。
前糖尿病では、血糖値が正常値より高いが、糖尿病を発症する血糖範囲ではない。
前糖尿病とFSH、特発性非閉塞性無精子症における関係性
研究チームは、不妊の男性744人を対象に、男性不妊と前糖尿病の関係性について検証した。前糖尿病の診断、血中ホルモン測定、精液分析を行ったところ、被験者114人(15.4%)に前糖尿病が認められた。
なお、前糖尿病の診断ではチャールソン併存疾患指数(CCI)にて併存疾患をスコア化し、精液分析は、2010年世界保健機関(WHO)の参照基準に基づく。
前糖尿病である場合、前糖尿病でない男性と比べ、年齢、CCIスコアが高く、テストステロンや性ホルモン結合グロブリン(性ホルモンと結合する糖タンパク質)は少なく、卵胞刺激ホルモン(FSH)が多い傾向にあった。
また、前糖尿病では精子のDNA断片化率が高まり、特発性非閉塞性無精子症の男性も多く見受けられた。
加齢と前糖尿病の症状悪化に伴い、FSH量は増え、特発性非閉塞性無精子症も進行するという。研究チームは、前糖尿病とFSH、特発性非閉塞性無精子症において関係性が立証され、前糖尿病が男性の生殖能力に悪影響を与えると結論付けている。
(画像はPixabayより)

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https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/bju.14558