卵母細胞の選択プロセスに対する影響
カリフォルニア大学デービス校ニール・ハンター研究室は、「Molecular Cell」にて、マウスを用いた動物モデル実験より、Rnf212遺伝子が卵母細胞の大きさ、質に基づいて卵子へと成長させる卵母細胞、死滅させる卵母細胞を選択すると発表した。
つまり、Rnf212遺伝子が、卵巣予備能(卵巣機能の潜在的な予備力)に大きく影響するという。卵巣予備能は、卵母細胞の質・量におけるバランスにより判断される。
卵母細胞の数は、生まれながらにして決まっている。卵母細胞は胎児の卵巣にて約600万個作られるが、出生時には約500万個までに減少する。その後、DNAに損傷がなく、良質な卵母細胞のみが残り、月経開始時には25万個程度になるといわれる。
Rnf212遺伝子の機能
卵母細胞は細胞分裂を繰り返しながら成長、成熟する。同研究室は、先行研究より、胚の成長初期段階において、Rnf212遺伝子は染色体の組み換えに不可欠であることを証明している。
染色体の組み換えに加えて、今回、Rnf212遺伝子が、染色体分配異常の卵母細胞を介して欠陥の状態・程度を学び、選択プロセスに活かすことが判明した。細胞記憶に基づき、欠陥の程度が大きい卵母細胞は修復せずに死滅させ、欠陥の程度が小さい卵母細胞は修復するという。
染色体分配に異常が生じた卵母細胞が増加すると、卵巣予備能は低下し、不妊を引き起こす。また、繰り返し起こる流産の要因とも考えられる。
(画像はプレスリリースより)

UC DAVIS
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