大気汚染物質の危険性
クイーン・メアリー(ロンドン大学)のノリス・リュウ(Norrice Liu)医師と博士研究員のリサ・ミヤシタ氏は、欧州呼吸器学会(ERS)にて、妊娠初期の女性が大気汚染物質にさらされた場合、化石燃料の燃焼により排出される炭素微粒子は胎盤まで達し、胎児の成長に悪影響を与えると発表した。
汚染物質(化学物質)は微粒子であり、呼吸により体内に取り込まれる。妊娠期の母親が呼吸にて汚れた空気を吸い込むと、肺から血流を介して胎盤まで達するという。
大気汚染物質による子供への健康影響
先行研究において、大気汚染物質による子供への否定的影響は立証され、早産、低体重児、乳児死亡、小児呼吸器疾患を引き起こす要因になると報告されている。
血流を介して肺から胎盤へ
臨床試験では、ロンドン在住で2人目を妊娠している女性5人を対象に、大気汚染による胎盤環境への影響を調査した。全ての女性は非喫煙者であり、妊娠合併症もなく、同医療機関にて帝王切開分娩を予定している。
計3500個の胎盤マクロファージ(胎盤の免疫細胞)を採取し、体外にて汚染物質に晒したところ、マクロファージ60個に炭素微粒子が取り込まれていた。
リュウ医師は、胎盤から胎児への移動メカニズムは未解明であるが、今回初めて、大気汚染物質が肺から血流を介して胎盤まで達することが確認されたと述べ、大気汚染物質による子供への悪影響を強調する。
(画像はPixabayより)

Queen Mary University of London
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