体外受精方法と卵子数
デューク大学の研究チームは、「Fertility and Sterility」にて、体外受精において、排卵した卵子数に応じて新鮮胚あるいは凍結胚を用いる判断を下すことが重要であると発表した。
新鮮胚と凍結胚を用いた体外受精
新鮮胚を用いる場合、ホルモン剤や排卵誘発剤により卵巣を刺激して複数の卵胞を発育させ、排卵を促す。採卵できた卵子と精子を受精させ、適した受精卵を子宮に戻して着床、妊娠成立を待つ。
しかしながら、過去5年間、多くの不妊治療関係者らは、受精卵の凍結保存を提唱してきた。排卵誘発にて卵巣を刺激することにより、子宮内膜が妊娠に備え、受精卵が着床しやすい環境になるという。また、凍結胚を用いた体外受精では、早産、低体重児のリスクが下がるといわれる。
それゆえ、卵子と精子の受精後、全ての受精卵を凍結保存し、次の月経周期にて凍結保存した受精卵を子宮に戻すことを推奨している。
新鮮胚と凍結胚における体外受精結果
研究チームは、2014年から2015年に掛けて、体外受精1サイクル目の女性約8万3000人を対象に、新鮮胚と凍結胚における体外受精結果を比較した。排卵誘発に対して卵巣の反応が低い女性では、排卵数が1個から5個であった。卵巣の反応が高い女性は卵子15個以上が排卵された。
排卵数が15個以上の女性では、新鮮胚の体外受精出生率(48%)と比べ、凍結胚を用いた体外受精における出生率は高く、52%であった。一方、排卵された卵子数が14個未満であった女性では、新鮮胚を用いた体外受精のほうが、妊娠率、出生率ともに高いことが認められた。
研究チームは、卵巣の排卵誘発剤に対する反応が高く、排卵誘発剤による刺激を受けて15個以上の卵子が成熟して排卵される場合に限り、受精卵を全て凍結保存し、次の月経周期の開始を待って胚移植を行うことも可能であると結論付けている。
(画像はプレスリリースより)

Duke Health
https://corporate.dukehealth.org/