ビタミンD不足が不妊治療に与える影響
国立衛生研究所(NIH)傘下の小児保健発達研究所は、「Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」にて、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を理由に不妊治療を受けている女性がビタミンD不足である場合、卵巣刺激・排卵誘発による排卵率、妊娠率、出生率が下がると発表した。
ビタミンD不足と不妊治療の成功率
研究チームは、PCOSによる不妊である女性607人(PCOS II ランダム化比較試験の対象者)、原因不明の不妊である女性647人(Assessment of Multiple Intrauterine Gestations from Ovarian Stimulation (AMIGOS試験)の対象者)を対象に、ビタミンD不足と不妊治療効果における関係性を検証した。
PCOS II ランダム化比較試験では、血中ビタミンD(25(OH)D)濃度が低い場合(<20ng/mL or 50nmol/L)、排卵の可能性は下がり、妊娠・出生率が低下すると報告されている。一方、AMIGOS試験結果にてビタミンD不足と出生率の関係性は立証されなかったが、ビタミンD不足と初期妊娠損失における関係性が認められた。
PCOSによる女性不妊とビタミンD不足
ビタミンDは生殖能力において重要な働きをする。それゆえ、研究チームは、ビタミンD不足がPCOSの女性にとって、卵巣刺激・排卵誘発の効果を左右する要素になると仮説を立てた。
研究結果より、PCOSの女性は、原因不明の不妊である女性と比べ、ビタミンD不足により卵巣刺激での排卵率が著しく低下すると結論付けている。
(画像はPixabayより)

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