胎盤オルガノイドの作製成功
ウィーン医科大学の研究チームは、3次元培養技術により胎盤オルガノイドの作製に成功したと発表した。オルガノイドとは、試験管内で3次元的に作製された臓器を意味する。
胎盤は母体と胎児をつなぎ、母から子へ栄養素・水分、代謝物質、ホルモン物質を引き渡す。また、遺伝子の引き継ぎも行われ、重要な臓器である。
自己組織化・自己複製が可能
近年、3次元培養技術の進歩に伴い、ヒトの臓器はオルガノイド培養可能になった。しかしながら、研究チームは、大半のオルガノイドが数種類の細胞のみにて構成され、実際の臓器と比べてシンプルな構造であると指摘する。
今回の研究では、栄養膜に特化した胎盤構造でオルガノイド培養を試みた。血管や結合組織は省かれ、胎盤の栄養膜細胞(トロホブラスト)のみの構造となる。胎盤オルガノイドは、胎盤の栄養膜細胞3種類を含み、幹細胞と前駆細胞をもとに自己組織化・自己複製が可能であり、持続的に成長できるという。
妊娠疾患の治療における将来性
これまで、多くの妊娠疾患は、原因が不明であり、メカニズムの解明に至っていない。それゆえ、自己組織化・自己複製が可能なオルガノイドは、母子の命を脅かす妊娠疾患の治療に希望の光を与える。
研究は継続中であり、現在、胎盤の他組織構造のオルガノイド培養に成功していたとも報告されている。
(画像はプレスリリースより)

MedUni Wien
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