子供に対するフタル酸エステルによる影響
イリノイ大学の研究チームは、母ラットの子宮内、あるいは産後の授乳を介してフタル酸エステル曝露を受けた場合、子ラットのニューロン(神経細胞)とシナプス(神経細胞の接合部)は減少したと発表した。また、フタル酸エステルにより、脳の前頭前皮質(前頭葉の前側領域)が縮小し、認知的な柔軟性の不足が認められた。
フタル酸エステルは可塑性物質であり、プラスチック製品、パーソナルケア製品、フレグランスなどの香料、製薬、衣類、建築材料と幅広く利用されている。
フタル酸エステルと脳への影響
研究チームは、妊娠中のラットを用いた動物モデル実験を通して、フタル酸エステルが子供に与える健康影響を検証した。
母ラットが妊娠中と授乳中にフタル酸エステルにさらされた場合、子マウスは、雌・雌ともに、正常なホルモンシグナル伝達が妨げられ、脳の発達に悪影響を及ぼした。フタル酸エステル濃度の高さに伴い、子ラットのニューロンとシナプスは減少し、脳の前頭前皮質が縮小した。
論文主著者であり、同大学のジャニス・ジュラスカ(Janice Juraska)教授は、母親の子宮、あるいは授乳を介してフタル酸エステルにさらされた場合、子供の異常行動や行動障害、行動抑制障害、精神神経疾患の要因に成り得ると説明する。
(画像はプレスリリースより)

ILLINOIS.EDU
https://news.illinois.edu/view/6367/672777