原因不明の不妊と精子の構造
トレド大学の研究チームは、「Nature Communicationsvolume」にて、今回の研究により精子に存在する中心体の構造が正しく解明され、中心体の構造が男性不妊、流産、子供の先天性異常に影響を与えることが確認されたと発表した。
同大学のトメル・アヴィグドール・リース(Tomer Avidor-Reiss)博士は、非定型中心体の機能・構造異常が原因不明の不妊、妊娠初期の妊娠損失、胚(受精卵)形成異常の要因に成り得ると結論付けている。
精子の中心体と役割
中心体は短い微小管にて構成される細胞小器官である。精子には2つの中心体が確認され、頭部、中片部(ミトコンドリア集合体)の中間に存在する。中心体から、中片部のミトコンドリアと尾部の鞭毛が延びている。中心子は正常な精子形成において不可欠であり、精細胞が細胞分裂して精子を形成する過程にて重要な働きをする。
一方、卵子に中心体は存在しない。また、受精卵の中心体にはタンパク質が含まれ、受精卵のタンパク質となる。
今回の研究を通して、受精時に精子がもつ中心体のうち、1つが卵子に与えられると判明した。アヴィグドール・リース博士は、構造やタンパク質組成は異なるが、受精卵の非定型中心体は精子に由来することが認められたと述べている。
(画像はPixabayより)

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