炎症性腸疾患に伴う妊娠・出産リスク
トロント大学の研究チームは、「Alimentary Pharmacology & Therapeutics」にて、炎症性腸疾患(IB)である女性が妊娠した場合、妊娠・出産に伴うリスクが高まると発表された。
炎症性腸疾患とは、主として消化管に炎症を引き起こす慢性疾患であり、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)の2疾患からなる。
炎症性腸疾患である女性は、妊娠・出産リスクは高まり、帝王切開による分娩が選択される傾向にある。炎症性腸疾患を患う女性のうち、3分の1は帝王切開にて分娩し、炎症性腸疾患でない女性と比べ、帝王切開になる確率は2倍増になったと報告された。
炎症性腸疾患と帝王切開・早産リスク
研究チームは、「Medline, Embase and Cochrane library」より研究論文53件を用いて、炎症性腸疾患に伴う妊娠・分娩リスクを検証した。調査結果より、炎症性腸疾患の女性は、炎症性腸疾患でない女性と比べ、帝王切開による分娩になる確率が高いことが認められた。
また、炎症性腸疾患(主に潰瘍性大腸炎、クローン病)により、妊娠糖尿病、胎盤疾患(子癇前症、胎盤早期剥離、胎盤前症)、絨毛膜羊膜炎、前期破水・早期破水による早産、妊娠損失のリスクも増す。
研究チームは、特に、炎症性腸疾患の女性が妊娠した場合、炎症性腸疾患でない場合と比べ、妊娠糖尿病、前期破水・早期破水による早産のリスクが高くなると結論付けている。
(画像はWiley Online Libraryより)

Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/apt.15587NEWS MEDICAL
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