男性不妊の要因となる遺伝子異常
ハーバード大学医学部の関連病院であるブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究チームは、「American Journal of Human Gene」にて、男性不妊に関与する遺伝子異常を新たに発見したと発表した。
今回、SYCP2遺伝子に影響する遺伝子再配列および変異体が精子数の減少に関連性があると立証され、SYCP2遺伝子の遺伝子異常による男性不妊症が、初めてヒト男性4人にて確認された。
SYCP2遺伝子と男性不妊
不妊において、少なくとも5件に1件は原因が特定できないが、半数以上は男性起因であるといわれる。しかしながら、論文の責任著者であるシンシア・モートン(Cynthia Morton)氏は、男性不妊のうち40%から72%は診断されていないと指摘する。
モートン氏は、1999年よりハーバード大学医学部とウェズリアン大学による調査「the Developmental Genome Anatomy Project(DGAP)」の一貫である「DGAP230」の責任者を務め、先天性欠損症の遺伝的根拠、発達における分子的根拠について研究を進めている。
今回、研究チームは、男性不妊において、半数以上のケースでは遺伝子が関与していると推測した。酵母および細胞モデルを含む実験を通して、SYCP2遺伝子の活動における変化の影響を検証し、SYCP2遺伝子の活性化により、遺伝的異常の発生が20倍増になると発見した。
モートン氏は、不妊男性において、バランスが取れた染色体再編成により、不均衡型な配偶子が分離するリスクが改善されることはないと説明する。不均衡型な配偶子の分離リスクは流産を繰り返し引き起こし、染色体再編成は、生殖において重要な遺伝子を破壊し、調節機構に異常を生じさせる。
研究チームは、今回の発見が活用され、SYCP2遺伝子の遺伝子異常が男性不妊の診断パネルとして用いられることを期待する。
(画像はBRIGHAM AND WOMEN’S HOSPITALより)

BRIGHAM AND WOMEN’S HOSPITAL
https://www.brighamandwomens.org/TECHNOLOGY ORG
https://www.technology.org/