胎児の目
カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、「Current Biology」にて、母親の子宮にいる胎児の網膜は、これまで考えられていた以上に光感度があり、正確に見えていると発表した。
網膜神経節細胞と光感受性
胎児の発達段階にある網膜内の感光性細胞「網膜神経節細胞」は、相互結合膜と相互作用する。網膜神経節細胞は、妊娠5週目から18週に掛けて発達する。網膜の神経節細胞層にあるニューロンの一種であり、双極細胞や網膜内層のアマクリン細胞から視覚情報を受け取り、視神経を介して脳に情報を伝達する。
網膜神経節細胞のうち約3%は感光性であり、6種類のサブタイプ(極めて多様な個性を持つ種類)が確認されている。身体の概日リズムで脳の異なる部分と相互作用し、強い光に対して瞳(瞳孔)を収縮させる。また、気分や感情に影響するサブタイプもある。
研究チームは、マウス、サルにギャップ結合(多くの細胞タイプにおける特殊化した細胞間結合)を通して相互作用する網膜神経節細胞を確認した。ギャップ結合は、電子インパルスにより細胞間の壁を通り抜ける。発達段階にある網膜の光の反応に影響を与え、感光性の網膜神経節細胞を介して光感受性を高める。
今回の研究では、胎児の網膜において、感光性のある網膜神経節細胞は特定されていないが、サブタイプの役割は非常に興味深い。
(画像はCurrent Biologyより)

Current Biology
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