モザイク胚による体外受精
11月4日、「Nature Medicine」は、体外受精においてモザイク胚を子宮移植した場合、子供の健康は何ら影響を受けないとの研究論文を発表した。
正常な胚では、全ての細胞が染色体46本を有する。一方、モザイク胚では、染色体変異のある細胞(大半は染色体数が少ない)、正常な細胞が混在する。
今回、体外受精にて誕生した子供を検査したところ、染色体異常を有する細胞は認められず、胎盤の機能不全による染色体異常を考慮したうえで、モザイク胚は子供に健康リスクを与えないとの結論に至った。
子癇前症、胎児の発育不全など妊娠に悪影響を与える染色体の不安定性に関しては、更なる研究の余地を残すが、胎盤の機能不全に起因する。
モザイク胚の発生過程
精子と卵子の受精後、受精卵が母親の子宮内にて成長する場合とは異なり、体外受精では、女性の卵子と男性の精子を採取し、体外にて精子と卵子を受精させ、受精卵を培養する。受精卵を培養液内にて成長させる環境下では、女性の子宮内と比べ、染色体に変化が生じやすく、モザイク胚になる可能性が高まる。
受精後、受精卵は急速に成長するが、胚細胞の一部あるいは全体において遺伝的異常が発生することが少なくない。遺伝的異常は、染色体の不安定性に起因する。体外受精にて胚を母親の子宮に移植した場合、多くは、胚に染色体変異のある細胞、染色体が正常な細胞が混在する。
先行研究では、自然妊娠の場合であってもモザイク胚に類似した形態に変化すると認められたが、自然妊娠と比べ、体外受精では、モザイク胚の発生する可能性が非常に高いと報告されている。
(画像はnature medicineより)

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