性比と男性不妊に関係する遺伝子
ミシガン大学医学部の研究チームは、「Current Biology」にて、マウスを用いた動物モデル実験より、X連鎖遺伝子ファミリーが子供の性比と男性不妊に関係すると発表した。
今回の研究では、少なくともマウスの性染色体には、子供の性別を男児・女児の間で五分五分に維持し、男性不妊に重大な影響がある遺伝子「X連鎖遺伝子ファミリー」が認められた。
X連鎖遺伝子ファミリーと子供の性別、男性不妊における関係性
男性不妊の根底にあるのは一握りの遺伝子であるが、遺伝子と男性不妊の関係性は、いまだ解明されていない。研究チームは、X染色体およびY染色体の研究を進め、精子と卵子が受精して子供の性別が決定されるメカニズムの解明を目指している。特に、性染色体は特殊であり、相同染色体とペアを作らない。
マウスを用いた動物モデル実験を行い、マウスの性染色体を分析したところ、進化した2つのX連鎖遺伝子ファミリーを発見した。また、X連鎖遺伝子ファミリーには複数のコピーが存在した。
ゲノム編集技術「CRISPR」を用いて、全てのX連鎖遺伝子ファミリーを排除し、マウスを生み出したところ、子マウスは60-40の比率で雄に偏った。マウスのX染色体とY染色体は同数であり、Y精子(Y染色体をもつ精子)が多い結果ではなかった。
それゆえ、研究チームは、X連鎖遺伝子ファミリーがX精子とY精子の相対的な適合性に影響を与えると推測する。また、Y染色体はX精子と比べて遊泳速度が速く、より真っすぐであることも理由であると考えられるが、メカニズムの解明には至っていない。
X連鎖遺伝子ファミリーは、X精子の適合性を調整すると考えられる。Y染色体の関連遺伝子ファミリーは複数コピーが存在し、Y精子と類似の働きをもつ。今回、X連鎖遺伝子ファミリーは、子供の性別を男児・女児の間で五分五分に維持し、男性不妊に重大な影響を与えると結論付けられた。
将来的には、マウスを用いて、男性不妊のメカニズム、精子生産プロセスが特定できると期待される。
(画像はプレスリリースより)

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