BPA曝露の危険性
バルセロナ・グローバルヘルス研究所(ISGlobal)は、欧州呼吸器学会(ERS)にて、妊娠期の母親が体内に吸収したBPA(ビスフェノールA)量が多量であり、母親の子宮にいる胎児がBPA曝露を受けた場合、胎児の肺機能は低下すると発表した。
同研究所によると、フェノールは日常生活において持続的に晒されている化学物質であり、フェノールのうち、BPAが最も一般的に使用されているという。
BPAは有機化合物フェノールに属し、プラスチック製の食品容器、缶詰、ペットボトル、玩具などに使用される。内分泌攪乱物質であり、ホルモンシステムに干渉し、身体のホルモン伝達に悪影響を及ぼす。また、呼吸器、免疫システムといった重要な身体機能に害を与え、変化させ続けるという。
妊娠期の母親のBPA曝露量と子供の肺機能への影響
研究チームは、母子2685組を対象に、妊娠期の母親のBPA曝露量と子供の肺機能への影響を検証した。妊娠期の母親に対して尿検査を行い、母親のBPA曝露量を測定した。子供の肺機能は6歳と10歳での検査、質問票より評価した。
母親が妊娠期にBPAに晒された場合、尿には検出可能レベルのBPAが含有されていた。また、妊娠期に多量のBPA曝露を受けた母親から誕生した子供は、BPA値が高く、肺容量は小さく、喘鳴(ぜんめい:呼吸の際に発する「ヒューヒュー」「ゼーゼー」などの呼吸音)の傾向が認められた。
子宮にいる胎児は、有害物質を排除する力がなく、内分泌攪乱物質に対して脆弱である。同時に、呼吸器や免疫システムは発達段階にある。
研究チームは、今回の研究を通してBPA曝露と肺機能の低下におけるメカニズムは解明されなかったものの、動物モデル実験を行った先行研究では妊娠期の母親がBPA曝露を受けることにより、胎児の肺発達が妨げられ、免疫システムに影響を及ぼすことが確認されていると報告する。
(画像はPixabayより)

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