妊娠期における大気汚染曝露の危険性
レスター大学環境衛生・持続可能性センター(CESH)の研究チームは、「BMJ」にて、妊娠初期の母親が排気ガスによる大気汚染に晒されることにより、子供の肺機能は低下すると発表した。
妊娠初期は胎児の発達において非常に重要な時期であり、それゆえ、妊娠初期の大気汚染曝露は、小さいながらも顕著に、子供の肺機能を低下させるという。
妊娠期の大気汚染曝露と子供への影響
研究チームは、イギリス・ブリストル在住の14500世帯を対象にした出生コホート調査「Avon Longitudinal Study of Parents and Children(ALSPAC)」を用いたうえで、妊娠期の大気汚染曝露と子供への影響を分析した。
1990年から2008年に掛けて、子供13963人を対象に妊娠期から15歳まで(妊娠前期・中期・後期、生後0~6ヶ月、生後7~12ヵ月、以降15歳まで毎年)調査したところ、PM10が空気1立方メートルあたりの1 mcg増加した場合、妊娠初期の曝露により、子供の肺機能は0.8%低下した。
胎児の発達初期段階、妊娠初期において、排気ガスの粒子状物質PM10に晒されることは、子供の肺機能に悪影響を及ぼし、8歳まで影響することが判明した。特に、男児に対する影響は大きく、妊娠初期の大気汚染曝露と子供の肺機能低下には因果関係が認められた。
排気ガスによる大気汚染曝露が子供の肺機能を低下させるメカニズムの特定には至っていないが、妊娠期の母親が体内に取り込んだ粒子状物質が胎盤を通過して胎児まで到達し、酸化ストレスによって胎児の肺の発達を妨げると推測される。
また、胎盤が大気汚染物質に晒され、エピジェネティックな変化(後成的な変化)が生じるとも考えられるという。
(画像はPixabayより)

the bmj
https://www.bmj.com/content/366/bmj.l5772NEWS MEDICAL
https://www.news-medical.net/